買手が売手に無償で提供した金型や材料の費用を「アシスト」といい、課税価格に加算します。ただし金型は複数の製品に繰り返し使うので、今回輸入する分だけを按分して足すのがポイント。加算の考え方を会話で整理します。アシストは、加算要素のなかでも特に計算がからむため、しっかり練習しておきたい論点です。買手がタダで提供したものの価値は、そのままでは商品の値段に反映されていません。そこで、その分を課税価格に足して公平にするわけです。ただし、金型のように何度も繰り返し使うものは、その費用を丸ごと一回の輸入に乗せるのではなく、今回の輸入分に対応する割合だけを按分して加算します。この『割合で分ける』という発想は、運賃・保険料の按分とまったく同じ。前に学んだ考え方がそのまま使えるので、関連づけて覚えると定着が早まります。数値例で、按分の計算をしっかり手になじませていきましょう。
先生、アシストって前の回でチラッと出てきたけど、結局どうやって計算するの?
名前だけ聞いても、いまいちピンとこないんだよね。
じゃあ改めて整理しましょうね、アキちゃん。アシストは、買手が無償で売手に渡した金型や材料などの費用のことよ。
買手がタダで提供している分、その価値は商品の値段に反映されていないでしょう?
だから課税価格に加算するの。
ただし、全額そのまま足すとは限らないのがポイントね。
うぅ〜ん…全額じゃないって、どういうことぉ?
タダであげたなら、その金額を丸ごと足すんじゃないのぉ?
いい疑問よ、ねむちゃん。
たとえば一つの金型で1万個の製品が作れて、今回輸入するのがそのうち2千個だけ、という場合を考えてみて。
金型は残りの製品にも使われるから、今回の輸入分に対応する2千個ぶんだけを足すのが公平でしょう?
使う割合で按分するの。
つまり、加算額=アシスト費用×(今回の輸入数量÷その金型で生産する総数量)、という式で合っていますか?
金型の費用を、生産できる総数で割って、今回の分だけ取り出すイメージですね。
完璧な式よ、さやちゃん。
金型は何回も繰り返し使うものだから、その費用を一度に全部乗せるのではなく、今回の輸入分だけを切り出す。
この割合の考え方が肝心なの。
式にしておけば、数字を当てはめるだけで解けるわ。
なるほど、金型代を作れる製品の数で割って、今回運ぶ分だけ足すってことか。
全部一気に足さなくていいんだね。
ちょっと安心した。
えへへ、按分ってさっきの運賃のときと同じ考え方なのぉ。
割合で分ける、っていうのが共通してるんですねぇ。
その気づきが素晴らしいわ、ねむちゃん。
運賃の按分も、アシストの按分も、根っこは同じ『割合で分ける』発想なの。
一度つかめば、いろいろな場面で使い回せるのよ。
補足すると、もし買手が無償ではなく対価を払って提供していれば、その分はすでに取引価格に反映されている場合もあります。
無償かどうかの確認と、二重加算の防止に注意ですね。
鋭い補足よ、さやちゃん。
加算するのは、まだ価格に反映されていない無償提供の分。
二重に足さないよう気をつけてね。
では金型費用を、今回の輸入数量分だけ按分して足す例で確かめましょう。
よし、金型代を総数で割って、今回の数を掛ける!
按分は割合、割合っと。
やってみる!
アシストって、金型のほかにはどんなものがあるのぉ?
生産に使う材料や部品、工具や鋳型、それに設計やデザインの費用も含まれることがあるの。
つまり、買手が無償や値引きで提供した『物』や『役務』が、広くアシストになり得る、ということですね。
そうよ。
共通するのは『商品を作るために買手が提供したもの』という点ね。
材料も金型も、要は買手が用意してあげた分ってことか。
なるほどね。
その通り。
だから、その価値を課税価格に足して、公平にするの。
材料みたいに一回で使い切るものも、按分するのぉ?
今回の輸入分に対応する量だけを足すの。
使い切りなら、その回に使った分を加算するわ。
補足すると、繰り返し使う金型は生産総数で按分、その回に消費する材料はその分を加算、と使い分けますね。
いい整理ね。
共通するのは『今回の輸入に対応する分だけを足す』という発想よ。
確認クイズ
買手が金型(費用1,000,000円)を無償で売手に提供した。この金型では合計10,000個を生産でき、今回輸入するのは2,000個である。課税価格に加算すべきアシスト費用はいくらか。
- 100,000円
- 200,000円
- 500,000円
- 1,000,000円
こたえを見る
正解: 2. 200,000円
正解は200,000円です。加算額=金型費用1,000,000円×(今回の輸入数量2,000個÷生産総数量10,000個)=1,000,000円×5分の1=200,000円。金型は繰り返し使うため、今回の輸入分だけを按分して加算します。