適正な通関と課税を確保するため、税関長や税関職員には強い調査権限が与えられています。質問検査権や報告徴収、犯則調査の臨検・捜索・差押えまで、行政調査と犯則調査の線引きで整理しましょう。
膨大な数の貨物が日々国境を越えていくなかで、申告が正しいか、禁じられた物が紛れ込んでいないかを確かめるには、税関に相応の調査の力が欠かせません。そのため関税法は、税関長や税関職員にさまざまな権限を与えています。ふだんの調査で用いられるのが、関係者に質問し帳簿を検査する質問検査権や、報告を求める報告徴収です。これらは輸入の許可後の事後調査にも及びます。一方、脱税などの犯則事件を調べるときには、裁判官の許可状を得て臨検・捜索・差押えを行う、より強力な権限が使われます。この記事では、行政調査と犯則調査という二つの枠組みの違いを軸に、税関の権限を整理していきましょう。
先生、税関の人って、輸入がぜんぶ終わったあとでも、あとから中身をチェックしに来ることがあるの?
許可が出たら、もう関係ないのかと思ってた。
それが、来ることがあるのよ。
税関職員には質問検査権があってね、輸出入する貨物や帳簿書類について、関係者に質問したり、それらを検査したりできるの。
通関の場面だけの権限ではないのよ。
つまり、その権限は、通関手続の最中だけでなく、輸入の許可を受けた後の事後の調査にも及ぶ、という理解で合っていますか?
合っているわ。
輸入後の事後調査で、帳簿を確認したり質問したりするのも、この質問検査権に基づくものなの。
あとから振り返って、申告が本当に正しかったかを確かめ、適正な課税を守るためね。
うぅ〜ん…質問して検査するだけじゃなくて、何か書類を出させたり、報告させたりすることも、できるのぉ?
できるのよ。
税関長は、必要があるときは関係者に報告を求めることができるの。
これを報告徴収というわ。
質問検査とあわせて、通常の調査のための基本的な権限だと考えておいてね。
じゃあ、それって、いわゆる普通の調査だよね。
もし、関税をごまかす犯罪っぽい、もっと深刻な話になったら、税関はもっと強いこともできるの?
できるのよ。犯則事件の調査になると、税関職員は裁判官の許可状を得たうえで、臨検や捜索、差押えができるの。
ここからは、令状という裁判所のお墨付きが必要な、とても強い権限の世界ね。
令状…?
なんだか、ドラマで聞いたことがあるよ。
ちゃんと裁判所の許しをもらわないと、勝手には踏み込めないってことなのぉ?
そうよ、ねむちゃん。
強制的に人の家や事務所に踏み込むような権限だからこそ、あらかじめ裁判官のチェックが要るの。
税関が自分の判断だけで自由に立ち入れる、というわけではないのね。
ここは大事なところよ。
補足すると、通常の質問検査や報告徴収は行政調査、令状による臨検・捜索・差押えは犯則調査、という別の枠組みとして整理できますね。
その通り、さやちゃん。
質問検査と報告徴収は行政調査、令状による臨検等は犯則調査。
目的も、手続の強さも、必要な手続もまるで違うの。
この二つの枠を、はっきり分けて理解しておきましょう。
それって…ふだんは質問と報告でしらべて、とくに悪質なときだけ、令状つきで踏み込む…っていう、二段構えなのぉ?
ふふっ、きれいに整理できたわね。
まさにその二段構え。
行政調査と犯則調査の線引きこそが、この分野の核心よ。
そこを意識しておけば、細かい問題にも対応できるわ。
確認クイズ
税関長・税関職員の権限に関する記述として、正しいものはどれか。
- 税関職員の質問検査権は、輸入の許可を受けた後には一切及ばない
- 税関職員は、犯則事件の調査であっても令状なしに自由に捜索・差押えができる
- 税関職員の質問検査権は、輸入後の事後調査においても行使することができる
- 税関長は、関係者に対して報告を求めることは一切できない
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正解: 3. 税関職員の質問検査権は、輸入後の事後調査においても行使することができる
質問検査権は輸入後の事後調査でも行使できます。よって選択肢3が正しいです。許可後にも権限が及び(選択肢1は誤り)、犯則調査の臨検・捜索・差押えは裁判官の許可状が必要で(選択肢2は誤り)、税関長は報告徴収ができます(選択肢4は誤り)。