税関長・税関職員の権限 ─ 質問検査権と犯則調査

適正な課税を守るための質問検査権や報告徴収、そして令状による臨検・捜索・差押え。行政調査と犯則調査の違いを軸に、税関の権限を整理します。

編集・検証: 通関士スタディ編集部 公式情報: 税関 (財務省) 通関士試験のご案内 制作・検証方針

適正な通関と課税を確保するため、税関長や税関職員には強い調査権限が与えられています。質問検査権や報告徴収、犯則調査の臨検・捜索・差押えまで、行政調査と犯則調査の線引きで整理しましょう。

膨大な数の貨物が日々国境を越えていくなかで、申告が正しいか、禁じられた物が紛れ込んでいないかを確かめるには、税関に相応の調査の力が欠かせません。そのため関税法は、税関長や税関職員にさまざまな権限を与えています。ふだんの調査で用いられるのが、関係者に質問し帳簿を検査する質問検査権や、報告を求める報告徴収です。これらは輸入の許可後の事後調査にも及びます。一方、脱税などの犯則事件を調べるときには、裁判官の許可状を得て臨検・捜索・差押えを行う、より強力な権限が使われます。この記事では、行政調査と犯則調査という二つの枠組みの違いを軸に、税関の権限を整理していきましょう。

紺野 アキ(普段) 紺野 アキ

先生、税関の人って、輸入がぜんぶ終わったあとでも、あとから中身をチェックしに来ることがあるの?
許可が出たら、もう関係ないのかと思ってた。

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

それが、来ることがあるのよ。
税関職員には質問検査権があってね、輸出入する貨物や帳簿書類について、関係者に質問したり、それらを検査したりできるの。
通関の場面だけの権限ではないのよ。

灰原 さや(普段) 灰原 さや

つまり、その権限は、通関手続の最中だけでなく、輸入の許可を受けた後の事後の調査にも及ぶ、という理解で合っていますか?

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

合っているわ。
輸入後の事後調査で、帳簿を確認したり質問したりするのも、この質問検査権に基づくものなの。
あとから振り返って、申告が本当に正しかったかを確かめ、適正な課税を守るためね。

薔薇崎 ねむ(普段) 薔薇崎 ねむ

うぅ〜ん…質問して検査するだけじゃなくて、何か書類を出させたり、報告させたりすることも、できるのぉ?

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

できるのよ。
税関長は、必要があるときは関係者に報告を求めることができるの。
これを報告徴収というわ。
質問検査とあわせて、通常の調査のための基本的な権限だと考えておいてね。

紺野 アキ(びっくり) 紺野 アキ

じゃあ、それって、いわゆる普通の調査だよね。
もし、関税をごまかす犯罪っぽい、もっと深刻な話になったら、税関はもっと強いこともできるの?

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

できるのよ。犯則事件の調査になると、税関職員は裁判官の許可状を得たうえで、臨検や捜索、差押えができるの。
ここからは、令状という裁判所のお墨付きが必要な、とても強い権限の世界ね。

薔薇崎 ねむ(普段) 薔薇崎 ねむ

令状…?
なんだか、ドラマで聞いたことがあるよ。
ちゃんと裁判所の許しをもらわないと、勝手には踏み込めないってことなのぉ?

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

そうよ、ねむちゃん。
強制的に人の家や事務所に踏み込むような権限だからこそ、あらかじめ裁判官のチェックが要るの。
税関が自分の判断だけで自由に立ち入れる、というわけではないのね。
ここは大事なところよ。

灰原 さや(普段) 灰原 さや

補足すると、通常の質問検査や報告徴収は行政調査、令状による臨検・捜索・差押えは犯則調査、という別の枠組みとして整理できますね。

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

その通り、さやちゃん。
質問検査と報告徴収は行政調査、令状による臨検等は犯則調査。
目的も、手続の強さも、必要な手続もまるで違うの。
この二つの枠を、はっきり分けて理解しておきましょう。

薔薇崎 ねむ(普段) 薔薇崎 ねむ

それって…ふだんは質問と報告でしらべて、とくに悪質なときだけ、令状つきで踏み込む…っていう、二段構えなのぉ?

銀城 ナディア 先生(笑顔) 銀城 ナディア 先生

ふふっ、きれいに整理できたわね。
まさにその二段構え。
行政調査と犯則調査の線引きこそが、この分野の核心よ。
そこを意識しておけば、細かい問題にも対応できるわ。

確認クイズ

税関長・税関職員の権限に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 税関職員の質問検査権は、輸入の許可を受けた後には一切及ばない
  2. 税関職員は、犯則事件の調査であっても令状なしに自由に捜索・差押えができる
  3. 税関職員の質問検査権は、輸入後の事後調査においても行使することができる
  4. 税関長は、関係者に対して報告を求めることは一切できない
こたえを見る

正解: 3. 税関職員の質問検査権は、輸入後の事後調査においても行使することができる

質問検査権は輸入後の事後調査でも行使できます。よって選択肢3が正しいです。許可後にも権限が及び(選択肢1は誤り)、犯則調査の臨検・捜索・差押えは裁判官の許可状が必要で(選択肢2は誤り)、税関長は報告徴収ができます(選択肢4は誤り)。

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