関税法を学ぶ第一歩は「言葉の定義」です。輸入・輸出・外国貨物・内国貨物といった基本用語を最初に正確につかんでおくと、この後のどの論点も一気に見通しがよくなります。急がば回れ、まずは土台からいきましょう。
せんせー!
関税法っておっきい法律だよね?
正直、何のためにあるのか、そこからもう分かんないよぉ。
いきなり用語がいっぱいで頭がパンクしそう。
焦らなくていいわ、アキちゃん。
最初はみんなそう感じるものよ。
まず目的からね。関税法は、関税をきちんと確定して納付・徴収・還付する手続と、貨物の輸出入についての税関手続を適正に処理するための法律なの。
大きく言えば、この二つのために存在しているのよ。
つまり『税金を正しく取る』ことと『物の出入りを正しく管理する』こと、その二本柱という理解で合っていますか?
税収の確保と、貿易の秩序維持の両方を担っている、と。
ええ、見事な要約ね。
まさに徴税と管理の二本柱。
そしてその二本柱を現場で支えているのが、これから覚える用語の定義なの。
ここを曖昧にすると、後の手続の話が全部あやふやになってしまうわ。
だから最初に丁寧に固めましょう。
うぅ〜ん…輸入と輸出って、外国から入れるか、外国へ出すか、ですよねぇ?
なんとなくは分かるんですけどぉ。
その感覚で正解よ、ねむちゃん。輸入は外国から来た貨物を本邦に引き取ること、輸出は内国貨物を外国へ送り出すこと。
ここで新しい言葉が二つ出たでしょう。
外国貨物と内国貨物、この対の言葉が今日の主役なの。
補足させてください。外国貨物は二種類に分かれます。
一つは輸出の許可を受けた貨物、もう一つは外国から到着してまだ輸入が許可される前の貨物ですね。
二つの入り口がある、と整理できます。
えっ、ちょっと待って。
輸出の許可を受けた貨物って、まだ日本にあるのに『外国』貨物なの?
なんでよ、目の前にあるのに!
いい驚きよ、アキちゃん。
そこがつまずきやすいの。
輸出許可を受けた瞬間に、法律の世界ではもう外国へ出ていく貨物として扱うの。
だから国内にあっても身分は外国貨物。
逆に、外国から来た貨物は輸入が許可されて初めて内国貨物になる。
『許可』という区切りで身分が切り替わる、と覚えてね。
じゃあ内国貨物は、外国貨物じゃない普通の国産品、っていう理解でいいのぉ?
基本はそうよ。
本邦にある貨物で外国貨物でないもの、これが内国貨物。
そしてもう一つ大事な仲間がいるの。
本邦の船舶が公海で採った水産物も内国貨物なのよ。
海の上で採ったのに国産扱い、ここは引っかけで狙われやすいから太字で覚えておいて。
例外はありますか?
『みなし外国貨物』という言い方も参考書で見かけました。
よく調べているわね、さやちゃん。
法律が特定の場面で内国貨物を外国貨物とみなすことがあるの。
たとえば保税工場で外国貨物と内国貨物を原料にして作った製品は、その全部を外国貨物とみなす、といった具合よ。
細かい条文を暗記するより、まずは『内国貨物でも外国貨物として扱う場面がある』と押さえれば十分。
詳しくは保税の回で扱うわ。
要するに、輸出許可でこっち側からあっち側へ、輸入許可であっち側からこっち側へ、身分がパチンと切り替わるってことね?
なんか関所みたい!
ところで先生ぇ、輸入の許可を受ける前の外国貨物は、まだ関税を払っていないんですよねぇ?
それが国内を自由に動き回ったら、ちょっと心配な気もしますぅ。
鋭い心配ね、ねむちゃん。
だからこそ、輸入許可前の外国貨物は保税地域という決められた場所で管理するの。
関税が確定して許可が下りるまでは、勝手に国内へ引き取れない仕組みになっているのよ。
つまり、身分が外国貨物である間は置き場所も限定される、という理解でよいですね。
身分の管理と場所の管理が、二人三脚で貨物を見張っているわけですね。
その通りよ、さやちゃん。
身分と場所、この二つがそろって初めて関税の徴収が確実になるの。
だから用語の定義は、単なる暗記ではなく制度全体の入り口なのよ。
身分と場所はセット!
定義は制度の入り口!
なんだか関税法の見取り図が見えてきたかも。
その関所のたとえ、すごくいいわ。
まさに許可という関所で身分が変わるの。
この一本の線が、これから学ぶ通関手続や保税制度、全部の背骨になる。
だから今日の定義は絶対に落とせないわ。
確認クイズ
関税法上の『外国貨物』に該当しないものはどれか。
- 外国から本邦に到着し、まだ輸入が許可されていない貨物
- 輸出の許可を受けた貨物
- 本邦の船舶が公海で採捕し、本邦に持ち帰った水産物
- 外国の船舶が公海で採捕し、本邦に到着した水産物で輸入許可前のもの
こたえを見る
正解: 3. 本邦の船舶が公海で採捕し、本邦に持ち帰った水産物
正解は選択肢3。本邦の船舶が公海で採捕した水産物は内国貨物です。選択肢1は外国から到着し輸入許可前の貨物、選択肢2は輸出の許可を受けた貨物、選択肢4は外国から到着した輸入許可前の水産物で、いずれも外国貨物に当たります。『自国の船が公海で採ったものは内国貨物』という点が引っかけの定番です。