適用法令の日 ─ 税率は「いつの法令」で決まるのか

関税額の計算に使う法令は原則として輸入申告の日のもの。特例申告貨物の許可の日、課税物件確定がずれる貨物の扱いまで、原則と例外を対で整理します。

編集・検証: 通関士スタディ編集部 公式情報: 税関 (財務省) 通関士試験のご案内 制作・検証方針

税率や課税標準は、法令改正でしばしば変わります。では「いつの法令」で計算するのか。これが適用法令の日の問題です。課税物件確定の時期とよく混同されるので、原則と例外を丁寧に区別しましょう。

関税率は、国内産業の保護や国際交渉の結果を受けて、しばしば見直されます。同じ貨物でも、通関する時期が少し違うだけで、適用される税率が変わってしまうことがあるのです。そこで関税法は、どの日の法令によって税額を計算するのかを、あらかじめ定めています。前回学んだ課税物件の確定の時期が「物の状態をいつの姿で固定するか」を決める論点だったのに対し、こちらは「どの時点の法律を当てはめるか」を決める論点です。二つは似ていますが役割が違い、しかも密接に関係します。原則の輸入申告の日を軸に、特例申告貨物や確定時期がずれる貨物の扱いまで、順を追って整理していきましょう。

薔薇崎 ねむ(普段) 薔薇崎 ねむ

せんせぇ、前に習った『課税物件を固定する時期』と、『どの法律を使うか』って…同じお話なのぉ?
それとも、別々に考えないといけないのぉ?
ちょっとこんがらがってきちゃった。

銀城 ナディア 先生(笑顔) 銀城 ナディア 先生

別物なのよ、ねむちゃん。
関税を課すときに使う法令は、原則として輸入申告の日に適用される法令によるの。
これを適用法令の日というわ。
『物の状態を決める時期』と『使う法律を決める日』は、別々の論点なの。

紺野 アキ(びっくり) 紺野 アキ

えーっ、じゃあ、もし申告した日に税率が変わってたら、新しいほうの率で計算するってこと?
前の日ならセーフで、当日ならアウト、みたいな?

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

そうよ。
だから改正日をまたぐ申告は、試験でよく狙われるの。
前日に申告すれば旧税率、当日に申告すれば新税率、というふうに、たった一日ずれるだけで結論が変わることもあるのね。
日付にはとても敏感になってほしいわ。

灰原 さや(普段) 灰原 さや

つまり、原則は輸入申告の日。
税額計算をする前に、まずどの法令を適用するのかを確定させる、という順序で理解すればよいですか?

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

その通りよ、さやちゃん。
土台となる法令の日がずれると、税率も課税標準も全部ずれて、計算そのものが崩れてしまうの。
だからこそ、いちばん最初に押さえるべき論点なのよ。

灰原 さや(普段) 灰原 さや

では、後日にまとめて申告する特例申告貨物のようなものは、いつの日の法令によるのでしょうか。
申告のタイミングが後ろにずれる分、迷いやすいところだと思うのですが。

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

いい質問ね。
特例申告貨物は、輸入の許可の日の法令によるのよ。
申告のタイミングが翌月にずれても、基準は許可の日で押さえるの。
『申告の日』ではなく『許可の日』になる、という例外として覚えてね。

薔薇崎 ねむ(普段) 薔薇崎 ねむ

うぅ〜ん…じゃあ、前に習った、課税物件が例外的にずれちゃう貨物は、法律の日もそっちに合わせるってこと…?
亡失した貨物とかは、どうなるのぉ?

銀城 ナディア 先生(笑顔) 銀城 ナディア 先生

ふふっ、よく思い出せたわね。
課税物件の確定の時期が輸入申告の時と異なる貨物は、その確定の時の属する日の法令によるの。
物の状態を決めた時点と、使う法律の時点を、そろえてあげるイメージよ。
だから前回の内容と対で覚えるの。

紺野 アキ(普段) 紺野 アキ

要は『ふつうは申告の日、特例申告は許可の日、確定がズレる貨物はその確定の日に合わせる』の3パターンってこと?
なんか、覚えることが多くて頭がパンクしそう…

銀城 ナディア 先生(笑顔) 銀城 ナディア 先生

きれいにまとまったわね、その3つでいいのよ。
焦らなくていいわ。
原則の『申告の日』さえしっかり軸にしておけば、残りの二つは貨物の性質から理由で引き出せるから、無理に丸暗記しなくて大丈夫なの。

灰原 さや(普段) 灰原 さや

補足すると、この論点は通関実務科目の税額計算にも直結しますよね。
適用法令の日を誤ると、実務問題でも失点につながる、と。

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

その通りよ。
だからこそ確実に得点したいところなの。
理論と実務の両方で効いてくる、いわば橋渡しの論点だと思って、ていねいに固めておきましょうね。

確認クイズ

適用法令の日に関する記述として、原則に照らして正しいものはどれか。

  1. 関税を課す法令は、貨物が本邦に到着した日の法令による
  2. 関税を課す法令は、原則として輸入申告の日に適用される法令による
  3. 関税を課す法令は、常に輸入の許可の日の法令による
  4. 関税を課す法令は、船積みの日の法令による
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正解: 2. 関税を課す法令は、原則として輸入申告の日に適用される法令による

原則は輸入申告の日に適用される法令によります。よって選択肢2が正しいです。選択肢3の「常に許可の日」は誤りで、許可の日によるのは特例申告貨物などの例外です。課税物件の確定の時期がずれる貨物は、その確定の時の属する日の法令によります。原則を軸に例外を整理しましょう。

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