税率や課税標準は、法令改正でしばしば変わります。では「いつの法令」で計算するのか。これが適用法令の日の問題です。課税物件確定の時期とよく混同されるので、原則と例外を丁寧に区別しましょう。
関税率は、国内産業の保護や国際交渉の結果を受けて、しばしば見直されます。同じ貨物でも、通関する時期が少し違うだけで、適用される税率が変わってしまうことがあるのです。そこで関税法は、どの日の法令によって税額を計算するのかを、あらかじめ定めています。前回学んだ課税物件の確定の時期が「物の状態をいつの姿で固定するか」を決める論点だったのに対し、こちらは「どの時点の法律を当てはめるか」を決める論点です。二つは似ていますが役割が違い、しかも密接に関係します。原則の輸入申告の日を軸に、特例申告貨物や確定時期がずれる貨物の扱いまで、順を追って整理していきましょう。
せんせぇ、前に習った『課税物件を固定する時期』と、『どの法律を使うか』って…同じお話なのぉ?
それとも、別々に考えないといけないのぉ?
ちょっとこんがらがってきちゃった。
別物なのよ、ねむちゃん。
関税を課すときに使う法令は、原則として輸入申告の日に適用される法令によるの。
これを適用法令の日というわ。
『物の状態を決める時期』と『使う法律を決める日』は、別々の論点なの。
えーっ、じゃあ、もし申告した日に税率が変わってたら、新しいほうの率で計算するってこと?
前の日ならセーフで、当日ならアウト、みたいな?
そうよ。
だから改正日をまたぐ申告は、試験でよく狙われるの。
前日に申告すれば旧税率、当日に申告すれば新税率、というふうに、たった一日ずれるだけで結論が変わることもあるのね。
日付にはとても敏感になってほしいわ。
つまり、原則は輸入申告の日。
税額計算をする前に、まずどの法令を適用するのかを確定させる、という順序で理解すればよいですか?
その通りよ、さやちゃん。
土台となる法令の日がずれると、税率も課税標準も全部ずれて、計算そのものが崩れてしまうの。
だからこそ、いちばん最初に押さえるべき論点なのよ。
では、後日にまとめて申告する特例申告貨物のようなものは、いつの日の法令によるのでしょうか。
申告のタイミングが後ろにずれる分、迷いやすいところだと思うのですが。
いい質問ね。
特例申告貨物は、輸入の許可の日の法令によるのよ。
申告のタイミングが翌月にずれても、基準は許可の日で押さえるの。
『申告の日』ではなく『許可の日』になる、という例外として覚えてね。
うぅ〜ん…じゃあ、前に習った、課税物件が例外的にずれちゃう貨物は、法律の日もそっちに合わせるってこと…?
亡失した貨物とかは、どうなるのぉ?
ふふっ、よく思い出せたわね。
課税物件の確定の時期が輸入申告の時と異なる貨物は、その確定の時の属する日の法令によるの。
物の状態を決めた時点と、使う法律の時点を、そろえてあげるイメージよ。
だから前回の内容と対で覚えるの。
要は『ふつうは申告の日、特例申告は許可の日、確定がズレる貨物はその確定の日に合わせる』の3パターンってこと?
なんか、覚えることが多くて頭がパンクしそう…
きれいにまとまったわね、その3つでいいのよ。
焦らなくていいわ。
原則の『申告の日』さえしっかり軸にしておけば、残りの二つは貨物の性質から理由で引き出せるから、無理に丸暗記しなくて大丈夫なの。
補足すると、この論点は通関実務科目の税額計算にも直結しますよね。
適用法令の日を誤ると、実務問題でも失点につながる、と。
その通りよ。
だからこそ確実に得点したいところなの。
理論と実務の両方で効いてくる、いわば橋渡しの論点だと思って、ていねいに固めておきましょうね。
確認クイズ
適用法令の日に関する記述として、原則に照らして正しいものはどれか。
- 関税を課す法令は、貨物が本邦に到着した日の法令による
- 関税を課す法令は、原則として輸入申告の日に適用される法令による
- 関税を課す法令は、常に輸入の許可の日の法令による
- 関税を課す法令は、船積みの日の法令による
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正解: 2. 関税を課す法令は、原則として輸入申告の日に適用される法令による
原則は輸入申告の日に適用される法令によります。よって選択肢2が正しいです。選択肢3の「常に許可の日」は誤りで、許可の日によるのは特例申告貨物などの例外です。課税物件の確定の時期がずれる貨物は、その確定の時の属する日の法令によります。原則を軸に例外を整理しましょう。