関税は「どの状態の貨物」に課すのかを、ある一時点で固定してから計算します。これを課税物件の確定といい、税額計算のいちばんの出発点になります。まずは原則と、いくつもある例外の考え方を、事情ベースで押さえていきましょう。
貨物は、船積みから本邦到着、保税地域での蔵置、そして輸入申告へと、いくつもの段階を経て動いていきます。その途中で数量が減ったり、貨物そのものが失われてしまったりすることも、決して珍しくありません。だからこそ、どの瞬間の状態を基準に税額を計算するのかを、あらかじめ法律ではっきり決めておく必要があるのです。この記事では、原則である「輸入申告の時」をしっかり固めたうえで、亡失や保税運送の不着といった代表的な例外を、なぜその時点にずれるのかという理由とセットで確認します。理由から理解しておけば、数多い例外も、本番で自分の力で思い出せるようになります。
先生、貨物って本邦に着くまでに数が減ったりサイズが変わったりすることあるよね?
結局、どの時点のモノを基準に税金を計算するの?
タイミングでずいぶん変わりそうだけど。
いい着眼点ね、アキちゃん。
関税をかける貨物の性質と数量を確定させる時点を課税物件の確定の時期というのよ。
原則はね、輸入申告の時の状態で決めるの。
申告した瞬間の姿で固定する、と考えてね。
つまり、申告した瞬間の性質・数量で課税物件が固定される、という理解で合っていますか?
そして、その原則には例外があるように思うのですが、どのような場合に例外となるのでしょう。
合っているわ。
ただし例外がとても多いの。
ここは絶対に落とせないところよ。
丸暗記しようとすると苦しいから、『輸入申告をとれない特別な事情が起きた場合』という共通の視点で束ねると、ぐっと覚えやすくなるわ。
たとえば保税蔵置場に置いた外国貨物が亡失したり滅却されたりしたときは、その亡失・滅却の時の状態で確定するの。
もう貨物が無いのだから、輸入申告なんてできないでしょう?
だから事情が起きた時点に確定をずらすのよ。
うぅ〜ん…それって、保税運送した貨物が運送先に着かなかったときも、似た考え方をする…ってことなのぉ?
申告できないから、別の時点にする、みたいな。
ふふっ、その通りよ、ねむちゃん。
運送先に到着しなかった貨物は、運送の承認をした時の状態で確定するの。
到着していないから申告時点をとれない、だからさかのぼって承認の時にする。
理由から素直に導けるでしょう?
要は『ふつうは輸入申告の時、でも申告できない事情が起きたら、その事情の時点でパチッと固定する』ってこと?
なんか、スポーツのタイムアップで時計を止める感じに似てるかも。
うまい例えね。
まさにその発想でいいの。
原則は輸入申告の時、例外は『申告をとれない事情が生じた、その時』と押さえておけば、細かい条文を一つずつ暗記しなくても対応できるわ。
他の例外も知っておきたいです。
試験で問われやすい具体例を、いくつか挙げていただけますか?
パターンを増やして整理しておきたいので。
そうね。
収容された貨物が公売されるとき、船用品や機用品の積込みの承認を受けたのに指定された期間内に積み込まれなかったとき、保税工場の外で加工する許可を受けた貨物が期間内に戻されなかったときなどよ。
どれも、通常の輸入申告がされない特別な流れだと分かるわね。
たくさんあるのぉ…全部ひとつずつ覚えるのは、うぅ〜大変そうで、ちょっと泣きそうだよぉ…
大丈夫よ、焦らなくていいわ。
今言ったものは全部『輸入申告をとれない特別な事情』という一本の糸でつながっているの。
丸暗記ではなく共通点で束ねれば、本番でも自分で思い出せるようになるから安心してね。
補足すると、確定の時期がずれると、次に学ぶ適用法令の日にも影響しますよね。
だから、この二つはセットで理解しておくべき、ということですね。
鋭いわ、さやちゃん。
二つは対で問われやすいの。
まず『原則は輸入申告の時』という軸を固め、そこから例外を事情で引き出せるようにしておけば、この分野は得点源になるわよ。
確認クイズ
課税物件の確定の時期に関する原則として、正しいものはどれか。
- 輸入の許可の時の状態で確定する
- 輸入申告の時の状態で確定する
- 貨物が本邦に到着した時の状態で確定する
- 納税義務者が関税を納付した時の状態で確定する
こたえを見る
正解: 2. 輸入申告の時の状態で確定する
原則は輸入申告の時の性質および数量により課税物件を確定します。よって選択肢2が正しいです。選択肢1の許可の時ではありません。亡失・滅却や保税運送の不着など、輸入申告をとれない特別な事情がある場合に限り、その事情の時点へ例外的にずれる、と整理すると覚えやすいです。