関税を納める義務を負うのは誰か。原則は貨物を輸入する者ですが、亡失や郵便物など、特別な納税義務者が定められる場面があります。連帯納税義務とあわせて確認しましょう。
納税義務者は、税額の確定・納付・徴収というこれから学ぶ一連の手続の、いちばんの主役です。誰が義務を負うのかが定まらなければ、督促状を誰に送るのか、財産を誰から徴収するのかも決まりません。ところが実務では、通関業者が輸入者に代わって申告するため、義務者の姿が見えにくくなりがちです。さらに、貨物が保税地域で失われたり、郵便で届いたりと、通常の輸入とは異なる流れをたどる場面もあります。この記事では、原則的な納税義務者をまず確定させ、次に特別な納税義務者、そして共同輸入の連帯納税義務へと、順序立てて整理していきます。
先生、関税って結局だれが払うの?
申告するのは通関業者さんだから、なんとなく通関業者さんが払ってるイメージがあるんだけど、それで合ってる?
いい思い込みを、ここで直しておきましょう。
原則の納税義務者は、貨物を輸入する者。
つまり輸入者よ。
通関業者はあくまで手続を代理でしてくれるだけで、税を負担する義務者そのものではないの。
ここは取り違えやすいから要注意ね。
つまり、申告名義に通関業者が出てきても、納税義務を負うのは貨物を輸入する本人、という理解で合っていますか?
義務者を誤ると、後の徴収の議論も全部ずれてしまいますよね。
合っているわ、さやちゃん。
まさにそこがこの論点の怖さなの。
義務者を取り違えると、督促を誰に出すのか、財産を誰から取るのか、全部おかしくなってしまうから、原則はしっかり固めておいてね。
そのうえで、原則だけでは捉えきれない場面があるの。
そこで登場するのが特別な納税義務者よ。
輸入した本人がはっきりしない、あるいは通常の輸入の流れをたどらない、そんな特別な状況で出てくるの。
特別…?
それって、たとえば保税蔵置場に置いておいた外国貨物が亡失しちゃったときは、置いていた人が払う…みたいなことなのぉ?
ふふっ、その通りよ、ねむちゃん。
亡失や滅却の場合は、その保税蔵置場等の許可を受けて貨物を置いていた者が納税義務を負うの。
輸入した本人がいない状況だからこそ、貨物を管理していた人に義務を向けるのね。
じゃあ、郵便で海外から届く輸入品はどうなるの?
差出人が払うの?
それとも、受け取るこっちが払うの?
郵便物は、原則としてその名あて人、つまり受取人が納税義務者よ。
海外通販で買った荷物を受け取るときに関税を払う、あの場面ね。
日常的でイメージしやすいでしょう?
うぅ〜ん…ほかにも、特別なパターンってあるのぉ?
なんだか、いろんな場合がありそうで…
あるわよ。
保税運送の承認を受けた貨物が到着しないときは運送の承認を受けた者、船用品や機用品の積込みの承認を受けたのに積み込まれなかったときは積込みの承認を受けた者、という具合にね。
どれも『通常の輸入者を義務者にできない事情』が共通しているの。
補足すると、数人で共同して同じ貨物を輸入した場合は、連帯納税義務になりますよね。
この場合の負担のしかたはどうなるのでしょう。
そうなの。
共同輸入では、それぞれが連帯して全額の納税義務を負うわ。
分割ではなく、一人ひとりが全部を負う建前なの。
そのかわり、誰か一人が完納すれば、他の者の義務も消える。
これが連帯の特徴よ。
要は『原則は輸入する人、特別な事情があれば置いてた人や受取人、みんなで一緒に入れたら連帯』ってこと?
こう並べると、意外とスッキリするね。
見事な要約よ、アキちゃん。
原則を軸に、特別な義務者は『事情』で、連帯は『共同』で押さえる。
この三本立てで整理しておけば、本番でも迷わないわ。
確認クイズ
関税の納税義務者に関する記述として、正しいものはどれか。
- 輸入申告を代理した通関業者が、原則的な納税義務者となる
- 関税の原則的な納税義務者は、貨物を輸入する者である
- 郵便物の関税は、常にその差出人が納税義務を負う
- 数人が共同で輸入しても、連帯して納税義務を負うことはない
こたえを見る
正解: 2. 関税の原則的な納税義務者は、貨物を輸入する者である
原則的な納税義務者は貨物を輸入する者です。よって選択肢2が正しいです。選択肢1の通関業者は代理人にすぎません。郵便物は原則として名あて人(受取人)が義務を負い、共同輸入は連帯納税義務となるため、選択肢3・4も誤りです。