課税価格には、仕入書価格に加えて「加算要素」を足すことがあります。仲介手数料やアシスト費用は加算し、買付手数料は加算しない——ここの線引きが計算の分かれ目です。何を足して何を足さないのか、演習で確かめましょう。加算要素は、通関実務のなかでも特に差がつきやすい論点です。というのも、名前が似ていても扱いが正反対になる費用があり、うっかり足したり足し忘れたりすると、たった一項目で答えがずれてしまうからです。試験では、加算するものと加算しないものをわざと混ぜて出題してきます。だからこそ、一つひとつの費用について『これは誰のための費用か』『すでに価格に含まれていないか』を落ち着いて見極める力が問われます。丸暗記ではなく、判断の軸を持つことが得点への近道です。この回で、その軸をしっかり作っていきましょう。
せんせぇ、手数料っていろいろあるみたいですけど、全部まとめて足しちゃえばいいのぉ?
そこが要注意なの、ねむちゃん。
同じ『手数料』という名前でも、扱いが正反対になることがあるのよ。
売手のために働く仲介手数料は課税価格に加算するけれど、買手のために働く買付手数料は加算しないの。
名前だけで判断してはいけないわ。
えっ、ややこしい!
同じ手数料なのに、片方は足して片方は足さないの?
なんで買付手数料は足さないのさ?
いい質問よ、アキちゃん。
買付手数料は、買手が『自分の代理人』に払うお金なの。
商品そのものの対価ではないでしょう?
だから課税価格には含めない。
逆に仲介手数料や売手のための手数料は、実質的に商品を手に入れるための費用だから加算するの。
ここは差がつくポイントよ。
つまり、加算するのは仲介手数料・容器や包装の費用・アシスト費用など、除外するのは買付手数料、という理解で合っていますか?
『誰のための費用か』が見分けの鍵ですね。
整理が見事よ、さやちゃん。
『誰のための費用か』がまさに見分けの鍵。
もう一つ、無償で提供した金型や材料の費用=アシストも加算するの。
これは大事な論点だから、後の回でじっくりやるわ。
うぅ〜ん…足すもの、足さないもの…頭がこんがらがってきたのぉ…どれがどっちだったかぁ…
大丈夫、ねむちゃん。
全部を暗記しようとすると混乱するから、『買付手数料だけは足さない』と一つだけ覚えて、あとは足す、と割り切るといいわ。
例外を一つ覚えるほうが、ずっと楽なのよ。
なるほど、買付手数料だけ仲間外れね。
それなら覚えられそう!
ひとつだけ弾けばいいんだ。
補足すると、加算するのは実際に買手が負担していて、まだ仕入書価格に含まれていない費用です。
すでに仕入書に入っている費用を、うっかりもう一度足してしまう二重加算に注意ですね。
そこも本当に大事よ、さやちゃん。
仕入書にすでに入っている費用を重ねて足さない。
『まだ入っていない費用だけを足す』のが原則なの。
では実際の数字で、加算するものと除外するものを仕分けてみましょう。
えへへ、買付手数料は弾く、二重には足さない。
二つだけ気をつけるのぉ。
加算するものって、手数料とアシストのほかにもあるのぉ?
あるわ。
買手が売手に払うロイヤルティや、輸入後の売上の一部が売手に渡る場合も、加算の対象になり得るの。
つまり、商品を輸入するために買手が負担する費用は、原則として加算に向かう、という理解でよいですか?
そうね。
逆に、買手の都合で払う買付手数料や、輸入後の国内費用は加算しないわ。
ロイヤルティって、キャラクターの使用料みたいなやつのこと?
そういうものもね。
輸入貨物に関係し、取引の条件になっていれば、加算を検討するの。
うぅ〜ん…判断が難しそうぉ…全部覚えられるか不安なのぉ…
試験では典型パターンが出るから大丈夫。
まずは『買付手数料は足さない』を軸に覚えていきましょうね。
補足すると、加算するのは『まだ仕入書価格に含まれていない分』だけ、という原則も忘れないようにしたいですね。
その通り。
二重加算を避ける、この一点も一緒に押さえれば、加算要素はもう怖くないわ。
確認クイズ
次の条件で輸入貨物の課税価格を求めよ。仕入書価格(FOB)800,000円、輸入港までの運賃50,000円、保険料10,000円、仲介手数料40,000円、買付手数料20,000円。
- 860,000円
- 880,000円
- 900,000円
- 920,000円
こたえを見る
正解: 3. 900,000円
正解は900,000円です。課税価格=800,000円+運賃50,000円+保険料10,000円+仲介手数料40,000円=900,000円。買付手数料20,000円は加算しないため、含めません。