罰則の続きとして、虚偽申告など申告に関する罪、法人にも罰金を科す両罰規定、そして起訴に代わる通告処分を確認します。犯則事件の締めくくりとなる仕組みです。
前回に続いて、関税法の罰則を見ていきます。今回の主役は、正しい申告という制度の土台にかかわる罪と、違反行為への責任のとらせ方、そして事件の締めくくり方です。輸出入の申告について偽った場合には、申告に関する罪が問われます。また、違反をしたのが会社の従業者であるとき、行為者本人だけでなく、法人や事業主にも罰金を科すのが両罰規定です。さらに、犯則事件がすべて裁判に進むとは限らず、税関長が金銭の納付を求める通告処分によって、簡易に決着することもあります。この記事では、これら三つの仕組みを通して、関税法の罰則の全体像を締めくくっていきましょう。
先生、輸出入の申告について、内容を偽って申告した場合も、罰則の対象になるのでしょうか。
単なる書類の間違い、では済まないような気がするのですが。
なるわ、さやちゃん。
申告に関する罪として、虚偽の申告などは、しっかり処罰の対象になるの。
正しい申告こそが、通関という制度全体の土台だからね。
そこを偽られては、制度が成り立たないのよ。
うぅ〜ん…もし、それを会社の社員さんがやってしまった場合は、罰せられるのは、その社員さん本人だけ、なのぉ?
会社は関係ないのぉ?
そこがこの分野のポイントなのよ、ねむちゃん。両罰規定というものがあってね、従業者などが業務に関して違反行為をすると、その行為者本人を罰するのに加えて、法人や事業主にも罰金刑が科されるの。
えーっ、やった人と、その人が働いている会社の、両方が罰せられちゃうってこと?
なんか、とばっちりみたいにも見えるけど。
そうなの。
だから『両方を罰する』で、両罰というのよ。
とばっちりというより、会社にも、従業者をきちんと監督する責任があるでしょう?
その責任を問う仕組み、と考えると分かりやすいわ。
なるほど、会社にとってはこわい規定だね。
社員に任せっぱなしで、知らんぷり、ってわけにはいかないんだ。
その通りよ。
だからこそ、企業はコンプライアンス、つまり法令の遵守をとても重視するの。
両罰規定は、試験だけでなく、実務のうえでもすごく大事な考え方なのよ。
犯則事件になった場合、それは必ず裁判にかけられて、起訴される、ということになるのでしょうか。
すべてが刑事裁判に進むのですか?
必ず、というわけではないの。
税関長は、調査によって犯則の心証を得たとき、通告処分をすることができるのよ。
罰金や没収に相当する金額を納めるように、と通告する制度ね。
裁判以外の解決の道があるの。
その通告された分を、ちゃんと払ったら、どうなるの?
それで、すっきり終わりになるの?
通告された内容を履行すれば、原則として、その事件について公訴されないの。
つまり、裁判にはかけられずに済むのね。
いわば、刑事裁判に代わる、簡易で迅速な決着の仕組みなのよ。
補足すると、その通告処分を履行しなかった場合には、今度は告発されて、通常の刑事手続に移っていく、という理解で合っていますか?
合っているわ。
履行しなければ告発される。
だから、通告処分は、あくまで起訴に代わる仕組みであって、逃げ道ではないの。
履行するか、しなければ刑事手続へ、という二択だと押さえておいてね。
それって…うそ申告は罪、会社も一緒に罰金、そして裁判にかける前に、通告で決着できることもある…っていう、締めくくりの仕組みなのぉ?
ふふっ、見事な要約よ、ねむちゃん。
申告に関する罪・両罰規定・通告処分、この三つで、罰則の全体像をきれいに締めくくりましょうね。
確認クイズ
関税法の罰則(申告に関する罪・両罰規定・通告処分)に関する記述として、正しいものはどれか。
- 両罰規定により、従業者が違反しても罰せられるのは法人のみで、行為者本人は罰せられない
- 通告処分の内容を履行しても、その犯則事件について必ず公訴が提起される
- 両罰規定では、行為者を罰するほか、法人や事業主にも罰金刑を科すことができる
- 税関長は、犯則の心証を得ても通告処分をすることは一切できない
こたえを見る
正解: 3. 両罰規定では、行為者を罰するほか、法人や事業主にも罰金刑を科すことができる
両罰規定では、行為者を罰するほか法人・事業主にも罰金刑を科すことができます。よって選択肢3が正しいです。行為者本人も罰せられ(選択肢1は誤り)、通告を履行すれば原則として公訴されず(選択肢2は誤り)、税関長は通告処分をすることができます(選択肢4は誤り)。