関税法の罰則② ─ 申告に関する罪・両罰規定・通告処分

虚偽申告など申告に関する罪、法人にも罰金を科す両罰規定、そして起訴に代わる通告処分。犯則事件の締めくくりとなる仕組みを会話で整理します。

編集・検証: 通関士スタディ編集部 公式情報: 税関 (財務省) 通関士試験のご案内 制作・検証方針

罰則の続きとして、虚偽申告など申告に関する罪、法人にも罰金を科す両罰規定、そして起訴に代わる通告処分を確認します。犯則事件の締めくくりとなる仕組みです。

前回に続いて、関税法の罰則を見ていきます。今回の主役は、正しい申告という制度の土台にかかわる罪と、違反行為への責任のとらせ方、そして事件の締めくくり方です。輸出入の申告について偽った場合には、申告に関する罪が問われます。また、違反をしたのが会社の従業者であるとき、行為者本人だけでなく、法人や事業主にも罰金を科すのが両罰規定です。さらに、犯則事件がすべて裁判に進むとは限らず、税関長が金銭の納付を求める通告処分によって、簡易に決着することもあります。この記事では、これら三つの仕組みを通して、関税法の罰則の全体像を締めくくっていきましょう。

灰原 さや(普段) 灰原 さや

先生、輸出入の申告について、内容を偽って申告した場合も、罰則の対象になるのでしょうか。
単なる書類の間違い、では済まないような気がするのですが。

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

なるわ、さやちゃん。
申告に関する罪として、虚偽の申告などは、しっかり処罰の対象になるの。
正しい申告こそが、通関という制度全体の土台だからね。
そこを偽られては、制度が成り立たないのよ。

薔薇崎 ねむ(普段) 薔薇崎 ねむ

うぅ〜ん…もし、それを会社の社員さんがやってしまった場合は、罰せられるのは、その社員さん本人だけ、なのぉ?
会社は関係ないのぉ?

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

そこがこの分野のポイントなのよ、ねむちゃん。両罰規定というものがあってね、従業者などが業務に関して違反行為をすると、その行為者本人を罰するのに加えて、法人や事業主にも罰金刑が科されるの。

紺野 アキ(びっくり) 紺野 アキ

えーっ、やった人と、その人が働いている会社の、両方が罰せられちゃうってこと?
なんか、とばっちりみたいにも見えるけど。

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

そうなの。
だから『両方を罰する』で、両罰というのよ。
とばっちりというより、会社にも、従業者をきちんと監督する責任があるでしょう?
その責任を問う仕組み、と考えると分かりやすいわ。

紺野 アキ(普段) 紺野 アキ

なるほど、会社にとってはこわい規定だね。
社員に任せっぱなしで、知らんぷり、ってわけにはいかないんだ。

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

その通りよ。
だからこそ、企業はコンプライアンス、つまり法令の遵守をとても重視するの。
両罰規定は、試験だけでなく、実務のうえでもすごく大事な考え方なのよ。

灰原 さや(普段) 灰原 さや

犯則事件になった場合、それは必ず裁判にかけられて、起訴される、ということになるのでしょうか。
すべてが刑事裁判に進むのですか?

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

必ず、というわけではないの。
税関長は、調査によって犯則の心証を得たとき、通告処分をすることができるのよ。
罰金や没収に相当する金額を納めるように、と通告する制度ね。
裁判以外の解決の道があるの。

紺野 アキ(普段) 紺野 アキ

その通告された分を、ちゃんと払ったら、どうなるの?
それで、すっきり終わりになるの?

銀城 ナディア 先生(笑顔) 銀城 ナディア 先生

通告された内容を履行すれば、原則として、その事件について公訴されないの。
つまり、裁判にはかけられずに済むのね。
いわば、刑事裁判に代わる、簡易で迅速な決着の仕組みなのよ。

灰原 さや(普段) 灰原 さや

補足すると、その通告処分を履行しなかった場合には、今度は告発されて、通常の刑事手続に移っていく、という理解で合っていますか?

銀城 ナディア 先生(普段) 銀城 ナディア 先生

合っているわ。
履行しなければ告発される。
だから、通告処分は、あくまで起訴に代わる仕組みであって、逃げ道ではないの。
履行するか、しなければ刑事手続へ、という二択だと押さえておいてね。

薔薇崎 ねむ(笑顔) 薔薇崎 ねむ

それって…うそ申告は罪、会社も一緒に罰金、そして裁判にかける前に、通告で決着できることもある…っていう、締めくくりの仕組みなのぉ?

銀城 ナディア 先生(笑顔) 銀城 ナディア 先生

ふふっ、見事な要約よ、ねむちゃん。
申告に関する罪・両罰規定・通告処分、この三つで、罰則の全体像をきれいに締めくくりましょうね。

確認クイズ

関税法の罰則(申告に関する罪・両罰規定・通告処分)に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 両罰規定により、従業者が違反しても罰せられるのは法人のみで、行為者本人は罰せられない
  2. 通告処分の内容を履行しても、その犯則事件について必ず公訴が提起される
  3. 両罰規定では、行為者を罰するほか、法人や事業主にも罰金刑を科すことができる
  4. 税関長は、犯則の心証を得ても通告処分をすることは一切できない
こたえを見る

正解: 3. 両罰規定では、行為者を罰するほか、法人や事業主にも罰金刑を科すことができる

両罰規定では、行為者を罰するほか法人・事業主にも罰金刑を科すことができます。よって選択肢3が正しいです。行為者本人も罰せられ(選択肢1は誤り)、通告を履行すれば原則として公訴されず(選択肢2は誤り)、税関長は通告処分をすることができます(選択肢4は誤り)。

🔖 この記事の関連書籍

Amazonアソシエイトリンクを含みます。他分野は おすすめ書籍ページ へ。