いったん得た許可も、一定の事情で効力を失います。自動的に消える「消滅」と、制裁として奪われる「取消し」の違いが試験の狙い目です。原因の性格の違いを対比で押さえましょう。結果はどちらも『許可がなくなる』という同じ状態ですが、そこに至る原因の性格はまったく違います。落ち度と関係なく自動的に効力を失うのが消滅、違反への制裁として奪われるのが取消しです。さらに、意見を聴く手続が要るかどうかという手続面の違いまで含めて、この対比こそが出題の急所になります。消滅か取消しか、という区別は事例問題でそのまま問われます。原因を見ればどちらかを見分けられるよう、代表的な場面を一つひとつ確認していきましょう。
先生、許可はいったん受けたら、ずっと有効なのでしょうか。
それとも失われることがあるのでしょうか。
失われることがあるのよ、さやちゃん。
しかも二つの道があるの。
一つは自動的に効力を失う許可の消滅、もう一つは制裁として奪われる許可の取消しよ。
この二つは原因の性格がまるで違うから、しっかり分けて理解してね。
うぅ〜ん…消滅と取消し、どう違うのぉ?
どっちも結局は許可がなくなるのに、区別する意味があるのぉ?
いい疑問ね、ねむちゃん。
消滅は本人の落ち度と関係なく、ある事実が起きたら当然になくなるもの。
取消しは、悪いことをしたことへの制裁として財務大臣が奪うもの。
結果は同じ『許可がない』でも、そこに至る理由がまったく別なの。
だから試験でも区別が問われるのよ。
消滅のほうって、具体的にどんな時に起きるの?
自動的にって言われても、いまいちピンとこなくて。
たとえば通関業を廃止したとき、個人の通関業者が死亡したとき、法人が合併で消滅したとき、破産手続開始の決定を受けたとき、合併・破産以外の理由で解散したとき。
こういう事実が起きると、処分を待つまでもなく許可は消滅するの。
業を続ける主体そのものがなくなる場面、と考えると分かりやすいわ。
つまり消滅は、業を続ける主体が消えたり、業をやめたりした場合ですね。
制裁とは無関係に、事実の発生によって当然に効力を失う、と理解しました。
その通り、さやちゃん。
では取消しはどうかしら。
偽りその他不正の手段で許可を受けたとき、欠格事由に当たるようになったとき、許可の条件に違反したとき。
これらが取消しの原因よ。
どれも『よくない行為や状態』が引き金になっているでしょう。
なるほど。
消滅は『いなくなった・やめた』、取消しは『悪いことをした』ってざっくり分けられるね。
原因を見れば、どっちか見分けられそう。
見事な要約ね、アキちゃん。
ちなみに取消しをするときは、財務大臣は事前に相手の意見を聴く手続をとる必要があるの。
制裁として重い効果を及ぼすからこそ、手続は慎重に、というわけね。
消滅にはそういう手続はいらないわ。
えへへ、悪いことをした人にも、ちゃんと言い分を聞いてあげるってことなのぉ?
なんだか公平ですぅ。
そうよ、ねむちゃん。
手続の公正さも法律の大事な要素なの。
消滅と取消しは、原因の性格と、意見を聴く手続の有無、この二つの軸で対比すれば、もう迷わないわ。
確認ですが、許可の消滅の場合、誰かが財務大臣に知らせる必要はあるのでしょうか。
自動的に消えるとしても、届出のような手続が要りそうに思うのですが。
実務的で良い視点ね、さやちゃん。
効力が自動的に失われる消滅であっても、廃止や死亡、解散といった消滅の原因が生じたときは、その旨を財務大臣に届け出るべきものとされているの。
効力が消えることと、それを届け出ることは別の話、というわけね。
取消しのように意見を聴く手続は要らないけれど、事実の発生を知らせる届出は残る、と整理しておいて。
消滅は『自動的に効力を失う+原因発生の届出』、取消しは『制裁として奪う+事前に意見を聴く』。
この手続面の違いまで押さえると、消滅と取消しの対比が完成するわ。
確認クイズ
通関業の許可の消滅の事由に当たるものはどれか。
- 偽りその他不正の手段により許可を受けたことが判明した
- 許可に付された条件に違反した
- 個人の通関業者が死亡した
- 欠格事由に該当するに至った
こたえを見る
正解: 3. 個人の通関業者が死亡した
正解は選択肢3。個人の通関業者の死亡は、許可が自動的に効力を失う消滅の事由です。選択肢1・2・4はいずれも財務大臣が制裁として許可を奪う取消しの事由であり、消滅とは原因の性格が異なります。