通関業者が亡くなったり、会社が合併したりしたとき、その地位は引き継げるのでしょうか。相続と合併等の承継の仕組みを会話で整理します。承認の『タイミングの違い』が最大の狙い目です。相続の場合は亡くなってから60日以内に承認を申請する事後の手続、合併や譲渡しの場合はあらかじめ承認を受ける事前の手続。承認を得るタイミングが前後で逆になる点が、この論点の最大の狙い目です。相続の『60日』という数字とあわせて、確実に押さえておきましょう。
先生、通関業者さんが亡くなってしまったら、そのお仕事はどうなっちゃうのぉ?
もう、ぜんぶ終わりになっちゃうのぉ?
優しい問いね、ねむちゃん。
実は、引き継ぐ道がちゃんとあるの。
それが地位の承継よ。
全部が終わってしまうわけではないの。
まずは相続の場合から見ていきましょう。
相続の場合、その相続人は、どのような手続をとることになるのでしょうか。
何もしなくても当然に引き継げるのですか。
そこがポイントよ、さやちゃん。
個人の通関業者が亡くなった場合、その相続人は通関業を続けることができるの。
ただし、何もしなくてよいわけではなくて、死亡後六十日以内に財務大臣へ承継の承認を申請しなければならないのよ。
えーっ、六十日以内!
けっこう急がなきゃいけないんだね。
うっかりしてたら過ぎちゃいそう。
そうなの、アキちゃん。
だからこそ期限が大事。
そして安心してほしいのは、承認を受けるまでの間は、亡くなった人が受けていた許可が、相続人に対してされているものとみなされる、という点。
事業が途切れないように配慮されているのよ。
つまり、承継の承認申請という手続を前提にしつつ、承認が下りるまでのつなぎの期間も業を続けられる、という理解で合っていますか。
空白期間を作らない工夫がされているのですね。
その理解で正しいわ、さやちゃん。
では次に、法人の場合はどうかしら。
合併や分割、あるいは通関業の譲渡しがあった場合ね。
相続とは少し仕組みが違うのよ。
うぅ〜ん…会社が合体したり、事業を別の会社にゆずったりしたときのお話なのぉ?
そうよ、ねむちゃん。
その場合は、あらかじめ財務大臣の承認を受けていれば、合併後に存続する法人などが通関業者の地位を承継できるの。
ここでのカギは『あらかじめ』、つまり事前の承認、という点よ。
相続とはタイミングが逆になるでしょう。
なるほど。
相続は『亡くなってから六十日以内』の事後、合併とかは『あらかじめ』の事前か。
承認をもらうタイミングが、前と後で逆になってるんだね。
ここが引っかけポイントっぽい。
見事な対比よ、アキちゃん。
相続は事後、六十日以内の承認申請。
合併・分割・譲渡しは事前の承認。
この時間軸の違いこそ試験の狙い目なの。
相続の『六十日』という数字と合わせて、絶対に落とさないでね。
えへへ、相続は後から六十日、合併は前もって承認。
ねむ、タイミングの違いでちゃんと覚えられそうですぅ。
確認ですが、承継が認められた場合、引き継いだ相続人や法人は、被相続人や元の会社が受けていた許可の条件なども、そのまま引き継ぐことになるのでしょうか。
承継の意味を深く突く良い問いね、さやちゃん。
地位の承継というのは、通関業者としての立場をそっくり引き継ぐことだから、元の許可に付いていた条件なども含めて引き継ぐ、と考えるのが基本よ。
だからこそ、誰にでも自由に承継させるのではなく、相続なら六十日以内の承認申請、合併等ならあらかじめの承認、というふうに財務大臣の関与を求めているの。
引き継ぐ相手がふさわしいかどうかを、承認という手続で確かめているのね。
承継は『地位をまるごと引き継ぐ+財務大臣の承認で適格性を確認する』、この二本立てで理解しておいて。
確認クイズ
通関業者の地位の承継に関する記述として、通関業法上、最も適切なものはどれか。
- 個人の通関業者が死亡した場合、相続人は死亡後60日以内に財務大臣へ承継の承認を申請できる
- 相続人は、承継の承認を受けなくても、無期限に被相続人の通関業を続けることができる
- 法人の合併による地位の承継には、財務大臣の承認は一切不要である
- 通関業者の地位は、いかなる場合も承継が認められない
こたえを見る
正解: 1. 個人の通関業者が死亡した場合、相続人は死亡後60日以内に財務大臣へ承継の承認を申請できる
正解は選択肢1。個人の通関業者が死亡した場合、相続人は死亡後60日以内に財務大臣へ承継の承認を申請できます。選択肢2は承認の手続を要するため誤り、選択肢3は合併等はあらかじめ財務大臣の承認が必要なため誤り、選択肢4は承継が認められる場合があるため誤りです。